2008年1月21日月曜日

ハーバーマス、リクールの「メタ解釈学」

ブリュッセル在住のPatrice Deramaixなる人物がネットで公開しているテキスト"Herméneutique et émancipation"(1993)を読む。これも、ハーバーマス・ガダマー論争についての話。こちらはさらに、ガダマーの反批判(1967)の後に出たハーバーマス側からの反反批判(?)、La Logique des sciences sociales所収の"La prétention à l'universalité de l'herméneutique"(1970)にも触れている。ここでハーバーマスはフロイトに言及しながら、歪曲されたコミュニケーションの正常化のモデルを精神分析における治療過程に求め、この「非解釈学的理解形態」の中に「メタ解釈学」の姿を見る、というような話らしい。Deramaixさんはまた、リクールがガダマーとハーバーマスの両者の立場を調停する目的で書いた"Herméneutique et critique des idéologies"(1973)も詳しく紹介している。リクールは、ハーバーマスのイデオロギー批判の重要性を認めつつ、言語行為論から想を得た受容理論を基礎に独自の(メタ)解釈学を構想する、云々。このリクールの論文は『時間と物語』(1983~85)より前に書かれたのだけれど、『時間と物語』の受容論を扱った箇所よりも(要旨を読んだだけでも)ずっと面白い気がする。不思議。

明日はENSの講演だ。さっさと寝よう。

0 件のコメント: