2020年2月13日木曜日

電子辞書「大学生モデル」は買うな⑧ 〜研究社セットをゲット!

英語強化型の大学生モデルに含まれる辞書のうち、リーダーズ新和英大英和活用大の3つのアプリは買わないほうがいいということでした。これらはみな研究社の辞書なので、まとめて「研究社セット」と呼ぶことにします。

この「研究社セット」は、人によっては使わずにすますこともできるかもしれません。しかし、多少使い勝手を犠牲にすれば、これら3つをまとめてゲットできるお得なパッケージがいろいろ存在しています。

1.研究社 Online Dictionary を利用する


進学する大学が決まったら、まず試してみて欲しいことがあります。「◯◯大学図書館 データベース」とGoogle検索して、自分の大学の図書館が提供しているデータベースを調べてみてください。そして、「辞書・辞典」のカテゴリーに「研究社 Online Dictionary」が含まれているか、確認してみてください。

Googleで調べられないときは図書館に直接問い合わせてみるといいでしょう。ついでに、学外アクセスが可能かどうかも確認しましょう。

OKなら、あなたの大学の学生と教職員は、以下のような研究社の代表的な辞書を、スマホやタブレットから無料で利用することができます。

リーダーズ英和辞典リーダーズ・プラス、新英和大辞典、新和英大辞典、新英和中辞典、新和英中辞典、ルミナス英和辞典、ルミナス和英辞典、新編英和活用大辞典

「研究社セット」もちゃんと含まれていますね。ここの出費がゼロになるのは、大きなアドバンテージです。

研究社 Online Dictionaryの検索画面は、スマホからでもとても見やすく使いやすいです。このすばらしいサービスが、多くの大学に広まるといいと思います。

2.高校生モデルに コンテンツを追加する

カシオ、シャープともに、電子辞書にコン­テンツを追加するさまざまな方法が用意されています。これを利用して、高校生モデルを大学生モデルに近づけることもできないわけではありません。もっとも、ほとんどの場合、同じ辞書をアプリで購入するほうが安く、使い勝手もよいため、コス­トパフォーマンスの点でこの方法はおすすめできません。

ただし、2018年以前の研究社のEx-wordなら、リーダーズ英和・和英大英和活用大の各辞典がまとめて追加できるこのデータカード(XS-KE06MC)が使えます。値段はかなりリーズナブルなで、定価は15,400円ですが、Amazonなどでは1万円ほどで買えるようです。

研究社 Online Dictionary が使えない学生の場合、このデータカードで「研究社セット」をゲットするという選択もありうるでしょうか。

しかしこれを買うということは、大学生活のあいだも高校時代と同じ電子辞書をメインで使いつづけるということを意味するでしょう。結局、どうしても電子辞書という形態にこだわりた­い(スマホなどは使いたくない、または使えな­い)、けれども大学生モデルを買う金銭的余裕はないというかた以外には、この方法は意味がない気がします。

3.大学生モデルの型落ち品を購入する

最新の大学生モデルは買わないとしても、大学生モデルを買ったまわりの学生と同じ辞書はいちおう持っておきたいと感じる人も多いかもしれません。そういう人は、もうひとつ選択肢として、これも検討してみてください。

大学生モデルでも、だいたい5年以上の型落ち品なら、Amazon、メルカリ、ヤフオクなどで中古を探せば激安で手に入ります。これを普段使いの辞書を補完する目的で併用するのです。

試しにEx-word XD-A9800という2010年のモデルを探してみたところ、ヤフオクでみごとに2,950円にて落札することができました。

大学図書館で研究社 Online Dictionaryが使えない学生にとっては、これが「研究社セット」を最安で手に入れる方法だと思います。

あくまでなかに入っている辞書(頻繁には引かないであろうもの)目的で買うなら、型落ち品で十分でしょう。引き出しの奥にしまっておいていざというときに使うだけならば、多少表示の美しさや使い勝手が劣っていても気にならないはずです。

2020年2月12日水曜日

電子辞書「大学生モデル」は買うな⑦ 〜理想の組み合わせ

大学生モデルの最新型の電子辞書を買うかわりにおすすめしたいのは、すでに言ったように、アプリで辞書を買いそろえることです。

もっと具体的に言うと、辞書by物書堂というアプリをiPhoneまたはiPadにインストールし、このアプリのなかの「ストア」で、必要な辞書コンテンツを個別に購入するという手順になります。(辞書by物書堂については、こちらチュートリアルビデオをご覧ください。)

実際には、使い慣れた高校生モデルを引きつづき使いながら、自分のタイミングで必要なものを買い足していけばいいのですが、ここで私の考える、大学生が買いそろえるべき辞書アプリの理想の組み合わせを提案してみます。

選択は、英文読解に役立つ使用頻度の高い英和辞典を軸にしたアプリのセット英語強化型の大学生モデルに入っているものと同一あるいは同等の辞書をそろえるという方針で行っています。

簡単に言うと、

  • 「読むための辞書」はアプリで揃える。
  • 「書くための辞書」や専門用語辞書は、アプリの値段によってはより安い方法での利用を検討する。
です。

辞書アプリの理想セット

買うべき辞書アプリは以下の通りです。

価格はそれぞれ、新明解国語辞典1,920円、漢辞海3,060円、ウィズダム英和・和英辞典4,040円、ランダムハウス英和大辞典6,100円、オックスフォード現代英英辞典3,920円、小学館オックスフォード英語類語辞典2,820円、小学館オックスフォード英語コロケーション辞典2,820円。合計すると、24,620円です。

ただし、物書堂は毎年4月にセールを行い、辞書が大幅に値下げされます。2015年から5年連続で実施されており、セール価格も毎年ほぼ一定です。仮に去年2019年の価格その­ままのセールが今年も行われたとすると、上記の辞書のうち最後のふたつを除いたものが値下げされて、それぞれ、1,200円、2,000円、2,000円、3,800円、2,600円となります(ただし増税にともない、辞書の定価が若干上がっているので、セール価格も少し上がる可能性はありますが)。

そうすると、理想の辞書セットの値段は17,240円にまで下がります。

第2外国語の辞書が必要なら、これも同じセールのときにそろえましょう。昨年の価格どおりなら、2,800〜5,600円で購入できるはずです。

買うべきではない辞書アプリ

反対に、買うべきではない辞書アプリのリスト挙げておきます。

左から、リーダーズ英和辞典+リーダーズ・プラス(物書堂、1,2000円)、新和英大辞典(ロゴヴィスタ、14,000円)、新編英和活用大辞典(ロゴヴィスタ、11,000円)です。

すべて大学生モデルに入っている辞書ですが、他の辞書アプリと比べて高額です。定価でアプリをそろえたら、全部で37,000円。つまり、最新の電子辞書が買える値段になってしまう。洒落にならない…

リーダーズは、すでに述べたように、純粋な英和辞典としてというより、固有名詞や専門用語を調べるのに役立ちます。ぜひともこれがなければと思う機会は、大学の教養課程ではあまり多くないかもしれません。これだけでも持っておきたいという人は、物書堂のセールで購入しましょう(去年は8,800円で買えました)。

新和英大辞典英和活用大辞典は、高度な英作文のために必要となります。すくなくとも教養課程のうちは、すべての学生にとって不可欠とは言えない辞書です。

いずれも使用頻度は高くないので、コスパが悪すぎます。オンラインなど、無料もしくはより安価な方法での利用を検討するほうがいいでしょう。

電子辞書「大学生モデル」は買うな⑥ 〜代わりの手段はいくらでもある

電子辞書の中身を一覧にしてみると、英語関係だけて大変な量です。この量だけでも圧倒されてしまい、4万円前後なら安いものだと、最新の大学生モデルを生協の勧めるままに購入してしまいがちです。

しかし、これらの辞書がすべての学生にとって不可欠というわけではありません。必要性は大学のカリキュラムに­よってまちまちなので、様子を見ながら必要なら手に入ればいいくらいに構えていればいいと思います。

けっして、慌てて決断しないようにしましょう。これらの辞書のうちのいくつかは、じつは無料でも使えるものが含まれているはずです。あるいはお金を払うにしても、新型の大学生モデルを購入するよりずっと安く手に入れる方法があります。

1. アプリの辞書を買う

一番おすすめしたい方法は、電子辞書に入っているのと同一あるいは同等の辞書をアプリのかたちで購入し、スマートフォンやタブレット上で利用することです。

スマホで辞書というと眉をひそめる人がいまだに多くいます。そのなかには、スマホの辞書について誤った認識を抱いたまま遠ざけている人がかなりいるようです。

電子辞書に入っている語学辞書のおもなものは、たいていモバイルアプリでも手に入り、スマホやタブレットにインストールすることができます。これらはもともと書籍の辞書として定評のあるもののデジタル版ですから、当然内容に問題はありません。ひとたびインストールすればオフラインで使用できますし、高い値段を出して買うものですからもちろん広告などは出てきません。

アプリの辞書は、同じ辞書を書籍やCD-ROMで購入するより安く手に入れられるのが普通です。それでも、電子辞書の内容をすべてそろえようとすると高くついてしまいますので、使用頻度の低いものは以下の別の方法で手に入れることを考えるべきでしょう。

2.iPhone、iPadの内蔵辞書を利用する。

アップルはiOS(iPadOS)ユーザーに各国語の辞書を無料で提供しています。スーパー大辞林、ウィズダム英和・和英辞典のほか、英英辞典としては大学生モデルに収録されているオックスフォード英英辞典が使えるなど、非常に充実した内容です。

Safariで単語選択して「調べる」をタップするなどして簡単にその意味を調べられるほか、特別なアプリを使えば、ダウンロード済みの内蔵辞書を一括検索することもできます

3.大学図書館のデータベースを利用する

たいていの大学図書館はオンラインの辞書・事典データベースと契約しているので、学生や教職員はこれに含まれる辞書を無料で閲覧することができます。学外からのアクセスが許可されていることが多いので、スマホやタブレットからアクセスして、これらを電子辞書のような感覚で使うことも可能です。

なかでも、ジャパンナレッジ研究社 Online Dictionaryはきわめて有用で、内容だけで言えば、このふたつのデータベースだけでほとんど大学生モデルの電子辞書の代わりになるほどです。

ジャパンナレッジのほうは広く普及しています。下の表のように、英和大辞典、学習英和・和英辞典、英英辞典が引けるほか、専門用語に特化した英語辞書も充実しています。また、百科事典、国語・古語、漢和辞典、ヨーロッパやアジアの言語の辞典など、その情報量は圧倒的です。

これに対し、研究社 Online Dictionaryを導入している大学はまだ少ないようです。研究社の代表的な辞書が一括検索できるので、これがあれば英文読解だけでなく、英作文や専門用語対策にも大いに役に立つはずです。

ただし、オンラインですから利用環境の制限を受けますし、ログインなどの手間もあるので、英和辞典のように頻繁に引く辞書はアプリで購入したほうがいいと思います。いっぽうで、よほど頻繁に利用するのでないかぎり、英作文用の辞書や専門辞書はオンラインでも十分でしょう。

4.その他のオンライン辞書を利用する

それ以外にも、インターネット上にさまざまなオン­ライン辞書が公開されています。信頼性の高い辞書が無料で使えるケースもかなりあるので、知っておいて損はありません。

既存の辞書を広告つきで無料公開しているコトバ­ンクWebIioのような統合型のオンライン辞書サイトは、すでにご存知のかたも多いと思います。朝日新聞が主体となって作られたコトバンクは、とりわけ百科事典を手軽に引けて重宝します。研究社の新英和・和英中辞典などさまざま英語辞書を一度に検索できるWeblioは、専門用語を調べたいときにも強い味方になってくれるでしょう。

また、名の通った英英辞典のなかにも、広告つきの無料オンライン版のあるものがかなりあります(たとえば、高校生モデルで採用されているオックスフォード現代英英辞典ロングマン現代英英辞典)。

既存の辞書ではないオリジナルコンテンツながら、すでに一定の信頼性と市民権を獲得しているオンライン辞書・事典もあります。膨大な英和・和英対訳データの集積である英辞郎は、ときには専門用語事典よりも頼りになるかもしれません。そして、いまさら説明不要のWikipediaも、貴重な情報源ですね。

2020年2月9日日曜日

電子辞書「大学生モデル」は買うな⑤ 〜なにが入っているのか

新学期が始まり、大学生協の電子辞書コーナーに行けば、新入生向けに「大学­生モデル」の新型が並んでいるにちがいありません。それらは例外なくカシオのEx-wordで、型番が「9800」で終­わる英語強化型と、「9850」で終わ­る理系強化型が並売されているのが普通です。価格はだいたい3万円台後半で、第2外国語が必要な場合はさらにコンテン­ツカードを追加購入する形です。

高校生モデルとのちがいを分かりやすくするために、大学生モデル(英語強化型)の英語辞書のおおまかな構成をまとめると以下のようになります。

高校生モデルと比較して追加されているのは③と④ですね。反対に、①学習英和は簡素化されています。

大学生モデルとは、これらの辞書をまとめて提供してくれるパッケージ商品です。そこに含まれる英語辞書は、読むための辞書書くための辞書、それに専門辞書に分類することができます。

1. 読むための辞書

大学入学と同時にかならず用意しなくてはならないのは、すでに解説したように学習英和を補完する英和大辞典です。これは英文読解の道具として必須になります。

上の表の③のうち、英和大辞典にあたるのは、すでに触れる機会があった、ジーニアス英和大辞典リーダーズ英和辞典リーダーズ・プラス、それに研究社英和大辞典です。(ただし、この組み合わせの場合、リーダーズは、英和辞典としてよりは、固有名詞や専門用語を探すために使うことがほとんどになるでしょう。書籍のサイズも他より小さめです。そう言う意味で、他とはちょっと性格のちがう辞書です。)

そのほか英英辞典も、学習者向けの②に加え、英英大辞典とも言うべき、④のオックスフォード英英辞典(Oxford Dictionary of English)が入っています。

2. 書くための辞書

このほか、上級英作文のクラスの課題に対­応したり、英語でレポートや論文を書いたりするのに役立つ辞書もあります。大型和英辞典類語辞典連語(コロケーション)辞典などがこれに当たります。

表で見ると、③のう­ちの研究社和英大辞典英和活用大辞典、および④のオックスフォード類語辞典オックスフォード連語辞典などです。

3. 専門用語辞書

さらに、専門用語に特化した英語辞書もあります。上の表には入れていませんが、大学生モデルには、専門用語対策として『200万語専門用語英和・和英大辞典』が入っています。

なお理系強化型の場合、①学習英和にウィズダムが加­わるかわりに、②英英からロングマンが、③大辞典から新英和大・和英大が省略され、④のオックスフォード辞典は収­録されません。また、英語強化型にはない自然科学系の英和・和英(『理化学英和辞典』『自然科学系英和・和英大辞典』)が含まれているのが特長です。

2020年2月7日金曜日

電子辞書「大学生モデル」は買うな④ 〜大辞典はなにが必要?

たとえ10万語クラスの辞書であっても、万能というわけにはいかないのは言うまでもありません。

『ウィズダム英和辞典』の英検2級の長文問題のカバー率(本文の単語が辞書の見出し語一覧に含まれる割合)は94.9%にとど­まり、さらに英検1級となると、その数字は90.3%にまで落ちるというデータもあります(こちら参照)。言葉にはつねに特殊な固有名詞や専門用語が含まれ、また時代とともに言葉も変化してい­くわけで、生きた文章のすべてを一冊の辞書に収めることは本来不可能でしょう。いずれにせよこのデータは、大学生がその学習レベルにふさわしい文章を読んでいれば、一定の割合で必然的に学習辞典ではカバーしきれない単語に出会うことを示しています。

三省堂のサイトより
三省堂のサイトより

ですから、学習英和に収緑されていない語­彙を収める大型の英和辞典が、大学生活のなかではやはり必要になるわけです。これが「大辞典」と呼ばれるクラスの英和辞典です。

上級学習英和辞典が郊外都市の総合スーパーだとするなら、英和大辞典は、池袋西武、新宿伊勢丹、横浜そごうのような、伝統ある大都市大型百貨店というところでしょうか(関東以外のかた、伝わりにくくてすみません)。

すでに述べたように、基本的情報を調べる役目は、つねに改訂されている学習英和辞典に任せましょう。そして、そこで見つけられない特殊な単語や表現、派生語や複合語などを見つけたいとき、語源を調べたいとき、あるいは固有名詞や専門用語をネット検索するまえに、より安心できる情報がないか確認したいとき、そんなときが、英和大辞典の出番になります。

大学生活をはじめるにあたって、以下の3つの英和大辞典のうちどれかひとつはもっていなければなりません。

  • ジーニアス英和大辞典(大修館書店)
  • 新英和大辞典(研究社)
  • ランダムハウス英和大辞典(小学館)

これらは25万5千~34万5千という語彙を収録しており、例文も豊富です。これに加えて、47万語を収めるリー­ダーズ英和辞典とリーダーズ・プラス(研究社)のセットがあれば万全です。

電子辞書「大学生モデル」は買うな③ 〜上級学習英和の実力

高校生モデルの電子辞書が採用している「上級学習英和辞典」の話を続けます。

このクラスの英和辞典は、このうえのクラスの大辞典に比べ利用者の幅が広く、各社の競合も激しいので、それぞれ読者をとらえるための工夫がなされていて、改訂も頻繁です。ジーニアス、ウィズダム、オーレックスの最新版は、それぞれ2014年、2018年、2016年に出版されています。

そのため、最新の英語学の研究の成果をいちはやく取り入れるのもまた、これらの上級学習辞典なのです。先述の関山先生は、『ウィズダム英和辞典』について、こう説明しています。「文法書、語法書顔負けの詳しい囲み記事やコーパスを検索した結果に基づいた詳細な記述は、他のタイプの辞書の追随を許しません。統語論、意味論、語法研究といった,英語学の最新の知見が惜しみなく本文に反映されているため、私を含め、研究者が真っ先に手をのばす辞書でもあります。」(こちらを参照)

世の中には収録語数の多い辞書ほどよいとする信仰も根強くあります。思うにそうした考えかたをする人々のなかには、上級学習英和の日進月歩の時代(ジーニアス英和辞典(1987年初版)が先鞭をつけ、ウィズダム英和辞典(2003年)あたりから本格化したと言っていいでしょう)以前に学生時代を過ごされ、辞書についての考えかたがそれ以降アップデートされていないかたも、少なからず含まれているのではないでしょうか。

われわれ日本人にも国語辞典が必要なように、どんなに英語学習レベルが上がったとしても、基本単語の意味を調べ、文法や語法の解説を確認することはつねに必要です。そして、そのために最適な辞書は、英和大辞典ではなく上級学習辞典なのです。実際、英検1級レ­ベルの実力の持ち主でも、このクラスの辞書を愛用しそこから日々新たな知見を得ているものです(こちら参照)。

ましてや大学生なら上級学習英和を頼る必要のないほどの英語の達人はほとんどいないはずです。高校生モデルは、これらの辞書のほぼ最新版を収録しています。受験勉強が終わったこれからこそ、これらの辞書をメインでフル活用していくべきでしょう

2020年2月5日水曜日

電子辞書「大学生モデル」は買うな② 〜高校生モデルはまだまだ使える

大学の勉強に立ち向かうのに完全装備とまではいえないにしても、電子辞書に含まれる情報はや­はり厖大です。高校生モデルに含まれていたコンテンツの多くは大学に入ってからも役立ちますし、また役立てるべきです。国語辞典、漢和辞典、百科事典はもちろんのこと、学習者向けの英語辞書(学習英和や英英)も、普段づかいの辞書として、あるいは文法や語法の確認のために、大学生のあいだもつねに座右において参照しつづけましょう。

そもそも高校生モデルには何が入っているのか? 英語の辞書に注目して、その構成をあらためてざっくり確認しておきます。

 高校生モデルにはカシオとシャープが製品を提供していますが、どちらも構成がよ­く似ていて、収録語数10万程度の学習英和辞典が3冊(およびそれぞれに対応する和英辞典)と英英辞典が2冊入っています。

これら学習英和の実力をよく把握しておく必要があります。この10万語とは、いったいどのくらいの数字なのでしょうか。

英検公式ページによると、高校卒業時点の英語学習者の到達段階が英検2級。非公式ですが、英検2級に受かるための目標語彙数は4,000~5,000語とされています。それに対し、英検1級は「大学上級」レベル。しかし実際には、1級合格には10,000~15,000語が必要であるとされ、大半の大学卒業者の実力のはるか上に相当するのは明らかです。これを考えると、10万という数字は大学生には十分なようにも思えるでしょう。

『ウィズダム英和辞典第2版』の共同執筆者のひとりである関山健治氏は、10万語クラスの「上級学習英和辞典」の性格を次のように表現しておられます。「難関大学の英語系学科を受験する高校生,予備校生や大学生,英語教員をはじめとした専門家を対象とした,学習英和辞典の最高峰です。これ1冊あれば,大学受験生から社会人,英語の専門職まであらゆる用途に対応します。」(こちら参照)

関山先生いわく、学習英和辞典は「辞書のコンビニ」とのことですが、ジーニアス、ウィズダム、オーレックスのレベルになるとこの表現はちょっと控えめすぎるようです。このクラスの辞書はいわば総合スーパーのようなもので、高校生モデルの電子辞書を所有しているとは、家の近所にイオンとイトーヨーカドーとダイエーがあるようなものでしょう。

普通に生活していくうえで必要になる基本的な品物は、こうしたお店に行けばたいてい手に入る、そんなイメージです。新学期から一人暮らしを始めようとする大学生も、身近にこれらのお店があればひとまず安心というところでしょうか。