2020年1月26日日曜日

電子辞書「大学生モデル」は買うな① 〜購入を考えている新入生、ちょっと待った!

これから大学生になるみなさんに、ぜひこのブログを読んで欲しいと思います。



春からの大学生活に向けて、新しい辞書の購入を考えているかたは多いでしょう。

はじめにあたりまえのことを確認しておきます。これまで使ってきた「高校生モデル」の電子辞書だけを頼りにただ漫然と講義に臨むような消極的な姿勢では、大学での勉強から多くの成果は期待できません。

講義で読む高度な英文のなかには、学習者向けの英和辞典では調べられない単語やイディ­オム、固有名詞や専門用語が含まれているはずです。また、第二外国語として英語以外の言語を新しく学ぶ場­合は、そのための辞書も必要になります。専門分野に特化した辞書が必要となる場合もあるでしょう。

大学生には大学生にふさわしい辞書が必要です。そしてなにより、それを使いこなす能力が求められます。

ただし、タイトルを見てもらえば分かるとおり、これはよくある「大学生モデル電子辞書のすすめ」などではありません。むしろその逆です。

今までの高校生モデルはすぐに手放さずに、引きつづき使ってかまいません。不足分は、スマホタブレットを用いれば、辞書アプリオンライン辞書でほぼ補うことができます。電子辞書に入っているコンテンツの大部分は、今ではこうしたモバイル端末でも、まったく同じあるいは同等のものが利用可能になっていることを知らない人が多すぎます。

自分にとって必要な辞書がきちんと把握できていて、適切な形で補完がなされているならば、「大学­生モデル」の最新型電子辞書を持っていなくてもなんらマイナスにはなりません。そのためのさまざまな方法は、順次解説していきます。

電子辞書は時代遅れのガラパゴス家電

それでも、必要な辞書が全部つまったパッケージが用意されていて、大学側もそれを使うことを推奨しているのだから、大学生モデルを買ったほうがいいのではとあなたは思うかもしれません。

いいえ、それは賢い選択ではない

なぜなら、電子辞書という製品自体がいまや時代おくれだからです。

かつての紙の辞書に代わって電子辞書が普及したのは、いわば必要悪としてでした。お世辞にもきれいとは言えない小さな画面を少しずつスクロールしながら根気づよく必要な情報を探す苦労が受け入れられたのは、何冊もの重い紙の辞書をつねに引き比べるもっと大きな苦労を電子辞書が取り除いてくれたからです。

しかし、同じように軽く、はるかに画質がよくてサクサク動くスマートフォンというデバイスのなかに好きなだけ辞書をインストールして持ち運べるようになったいま、電子辞書を使いつづける意味ははたしてあるのでしょうか。それだけでなく、スマートフォン用に購入した辞書アプリは、タブレットにもインストールできます。iPadなどのタブレット端末は、今後ますます教育現場に浸透していくでしょう。そのなかに信頼のおける辞書が入っているなら、ますます電子辞書の出番はなくなります。

今日、一般の人たちは電子辞書を買わなくなっています。電子辞書とは、メーカーが中身のほとんど変わらない製品を毎年「新型」と銘打って新入生に買わせることでかろうじて成り立っている斜陽産業なのです。

かつてのワープロ、VHSビデオデッキ、ガラケーのような未来が、やがて電子辞書にもおとずれることでしょういま大学の新入生である若者たちも、大学を出るころには電子辞書を手放すことになるでしょう。そして、(まだ向学心が残っているならば)あらためてスマホの辞書を買いなおさなければならなくなるにちがいありません。

ですから、いまこの時代に電子辞書にお金を投資することは賢明ではありません。それくらいなら、いままで慣れ親しんできた古い電子辞書を大事に使い切るほうがいいと思います。そして、やがてスマホの辞書を使うことになるのであれば、いまから少しづつそちらに移行していくべきです。