2008年12月17日水曜日

山口薫展


おお、久しぶりの更新。

世田谷美術館の「山口薫展」、見てきました。(日本に帰国したのです。)

1933年に留学先のパリから日本に帰国してから敗戦までのシュル・リアリズム色の濃くなる時期が、やはりかなり凄い。それまで外界に向けられていた画家の視線が、内省的になる。暗い緋色のバックに浮かび上がる、記憶の断片のような表象。菱形の田んぼ、女の顔…。

戦後の画家として確立していく時期も、良いです。基本的に(良い意味で)日本が染みついた画風ですが、それでもいろいろなスタイルが楽しめる。歌う壷はマチスのよう(これが結構楽しげ)、静物のちょっと歪んだ世界はモランディーのよう、田園風景のどっしりした趣きはフォックス・トールボットの写真のようで…。

日本にも、すごい画家がいますね。びっくりした。