2010年10月2日土曜日

青尻猿

7月以降、ほとんど死んでいました。死んでないふり、してましたけど。

カルチャーで新講座が2つはじまって、それに公開講座が重なったら、それだけでいっぱいになってしまった。なさけないです。

なるべく人に迷惑はかけないようにしたかったのだけれど、正直いって、こちらのふがいなさに呆れ返った人、けっこういたと思います。
お読みにならないとは思いますが、そういうかたがたには、この場を借りて謝りたい。すみませんでした、本当に。

しかし、厄介な仕事がひとつようやく最近(でもないけど)ひとつ片づきました。ギリシャの地理をフランス語で記述した本を見ず知らずの人が翻訳したものの校正です。とほほ…。本当に本当に骨の折れる、とほほな仕事でした…、もとの訳が最低だったし…。

さて、カルチャーでの新講座のひとつが、『プルースト原典講読』。ご病気で休養されているグルナック先生の代講です。

第一回目、いきなりこんな奇妙な一節に遭遇しました。お昼のスワン家のサロンでの会話。スワンが「ジャルダン・ダクリマタシオン」(自然観察園)という言葉を口にすると、スワン夫人はすかさず、「そういえば」と言いながらブラタン夫人の話題を持ち出すという場面。

Mais quel rapport a-t-elle avec le jardin d'Acclimatation ? — Tous ! — Quoi, vous croyez qu'elle a un derrière bleu ciel comme les singes ? — Charles, vous êtes d'une inconvenance ! (I, 526)
「だがね、彼女と自然観察園とどんな関係があるのかね?」「大ありですわよ。」「なんだって、あなたは彼女が自然観察園のサルみたいに、真っ青に澄んだお尻をしていると思ってるのかね?」「まあ、シャルルったら!なんて無作法なことをおっしゃるの!〔…〕」(鈴木訳3、『花咲く乙女たちのかげに I』)
空のように澄んだ色のお尻をもった猿? 思い浮かべられますか…。

井上訳では、おそらくまよった挙句、こんなふうになっています。
「へえ、あの女はあそこのお猿さんのようにどこやらが夕やけ小やけだとでもいうのかね?」l「シャルルったら、まあ無作法なかたねえ!」(井上訳2、『花咲く乙女たちのかげに I』)
内藤訳『星の王子さま』同様に、しばしば誤訳論議など超越した味のある文章になっているのが井上訳です。

ところで、空色のお尻の猿。調べてみたら、いるみたいですね。


英語名でBlue-butt-monkey。日本語、フランス語では…、不明です。
これはケニアのアンボセリ国立公園での写真ですが、世紀末のジャルダン・ダクリマタシオンには、ブルー・バット・モンキーがいたのでしょうか。

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