2020年2月5日水曜日

電子辞書「大学生モデル」は買うな② 〜高校生モデルはまだまだ使える

大学の勉強に立ち向かうのに完全装備とまではいえないにしても、電子辞書に含まれる情報はや­はり厖大です。高校生モデルに含まれていたコンテンツの多くは大学に入ってからも役立ちますし、また役立てるべきです。国語辞典、漢和辞典、百科事典はもちろんのこと、学習者向けの英語辞書(学習英和や英英)も、普段づかいの辞書として、あるいは文法や語法の確認のために、大学生のあいだもつねに座右において参照しつづけましょう。

そもそも高校生モデルには何が入っているのか? 英語の辞書に注目して、その構成をあらためてざっくり確認しておきます。

 高校生モデルにはカシオとシャープが製品を提供していますが、どちらも構成がよ­く似ていて、収録語数10万程度の学習英和辞典が3冊(およびそれぞれに対応する和英辞典)と英英辞典が2冊入っています。

これら学習英和の実力をよく把握しておく必要があります。この10万語とは、いったいどのくらいの数字なのでしょうか。

英検公式ページによると、高校卒業時点の英語学習者の到達段階が英検2級。非公式ですが、英検2級に受かるための目標語彙数は4,000~5,000語とされています。それに対し、英検1級は「大学上級」レベル。しかし実際には、1級合格には10,000~15,000語が必要であるとされ、大半の大学卒業者の実力のはるか上に相当するのは明らかです。これを考えると、10万という数字は大学生には十分なようにも思えるでしょう。

『ウィズダム英和辞典第2版』の共同執筆者のひとりである関山健治氏は、10万語クラスの「上級学習英和辞典」の性格を次のように表現しておられます。「難関大学の英語系学科を受験する高校生,予備校生や大学生,英語教員をはじめとした専門家を対象とした,学習英和辞典の最高峰です。これ1冊あれば,大学受験生から社会人,英語の専門職まであらゆる用途に対応します。」(こちら参照)

関山先生いわく、学習英和辞典は「辞書のコンビニ」とのことですが、ジーニアス、ウィズダム、オーレックスのレベルになるとこの表現はちょっと控えめすぎるようです。このクラスの辞書はいわば総合スーパーのようなもので、高校生モデルの電子辞書を所有しているとは、家の近所にイオンとイトーヨーカドーとダイエーがあるようなものでしょう。

普通に生活していくうえで必要になる基本的な品物は、こうしたお店に行けばたいてい手に入る、そんなイメージです。新学期から一人暮らしを始めようとする大学生も、身近にこれらのお店があればひとまず安心というところでしょうか。




0 件のコメント: